Touring & Travel diary
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5日目 扇浦-三日月山-大村-扇浦
2020年11月30日(Mon)
小笠原での3日目。朝食後に宿の送迎車でウェザーステーション展望台まで送ってもらう。父島の中心地大村の裏手にある三日月山の西にあるこの展望台は、西側は海に面しており、夕日スポットとして人気の場所だ。今日は午後から雨の天気予報なので、夕日を気にせず、朝一番に来た。2月から4月にかけてここからクジラを見ることもできるらしいが、今の季節は難しい。
断崖には本州でもよく見かけるイソヒヨドリがいた。
ウェザーステーション展望台から東の三日月山に向かって歩道を歩く。昨日訪れた高山同様に、三日月山山頂近くにも岩をくり抜いた基地のようなものがあり、そこから海が良く見えた。
三日月山展望台は基地のすぐ裏にあり、大村や港方面の景色が良く見える。
地形図を見たらさらに東に道があり、大村に近道ができそうだが、残念ながら通行止めだ。仕方ないので同じ道を引き返し、ウェザーステーションを経由して大村に向かう。途中の森には戦跡がたくさん残っている。これまでのところと違って各建物に説明があるので、分かりやすくて、見応えがある。
父島の中心である大村地区に戻ってきた。民家の庭先にパパイヤが生っており、南の島なんだなと改めて思う。
柵のない敷地にきれいに刈られた芝生に立つ白い教会を見て、南太平洋やミクロネシアの島旅を思い出す。小笠原聖ジョージ教会という教会である。小笠原が日本に返還された1968年に再建された建物なので、築50年は越えているが、塗装が新しいだけで真新しく見える。
次に小笠原世界遺産センターを訪れる。小笠原は2011年に世界自然遺産として登録されている。自然遺産は何がどう貴重で登録されているかに興味があるが、今一よく分からない展示の仕方で少し残念に思う。自然環境の保護にどう取り組んでいるかという活動ばかりが目立っているように思う。
次に訪れたのが小笠原ビジターセンター。こちらは自然、歴史、文化といった小笠原の情報が分かりやすく展示されており、期待以上の場所である。訪れた人の口コミや宿の人のおすすめが、世界遺産センターよりも小笠原ビジターセンターだったのは納得だ。
展示を見終えて、そろそろ出ようとするが、ビジターセンターの図書コーナーにあった小笠原の料理本に妻が夢中になり、もう少しいたいという。仕方ないので私もしばらく本を読む。
昼前にビジターセンターを出て、散歩をする。といっても小さな場所で、さして見るものはない。役場近くにあった道標で、東京までの距離と沖ノ鳥島までの距離がほぼ同じなのに驚いた。沖ノ鳥島はまだまだ遠くなのだ。
土産物屋なども見たがこれといって欲しいものはない。まだ雨は降っていなかったので公園で弁当も良いかなと思うが、弁当もこれといったものが見つからず。地元の人で賑わっている食堂で青ウミガメの刺身定食と青ウミガメの亀煮定食を注文した。刺身は魚よりも肉に近い食感で悪くはないが、少し水っぽい。長期間冷凍していたものだろうという味がして少し残念だった。
亀煮はやはり美味い! 昨日の夕食にも出たが、量が全然違うので、これは注文して良かった。小笠原料理の本に地元民は刺身では食べず亀煮が一般的な食べ方だとあったらしい。この店の味が標準的なものなら誰もが刺身でなく亀煮を選ぶだろう。
昼間っから酒盛りをしている地元のおじさんなどもおり、雰囲気は良い感じの店だ。大村地区から遠い宿に泊まっているので中々飲み屋をのぞくなんてことができない。昼間にこの雰囲気が見れたのも貴重な経験だ。
昼食後、小笠原水産センターへ向かっている途中で雨が降り出した。小走りに小笠原水産センターに駆け込む。見学できる水族館は非常に小さな場所で、すぐに見終わってしまうが、雨なのでしばらく水槽を眺めて過ごす。ウツボがパイプを住処にしているのが見ていて笑える。
雨が上がったので今度は小笠原海洋センターへ。こちらは別名カメセンターと呼ばれるウミガメの保護活動をしている場所だ。やたら若い兄ちゃんが働いているなーと思ったら、中学生の体験学習だ。楽しそうにウミガメのサイズを測ったりしている。
水槽のウミガメは人が近づくと餌をもらえると思って寄ってくるので非常に面白い。
天気が良ければ夕方までビーチで過ごそうと思っていたが、激しい雨が降ってきて、どこにも行けなくなる。宿に連絡が取れる15時まで海洋センターで時間を潰し、送迎車で宿に戻る。
小笠原最後の夜だが、雨が強く、何もできない。ゆっくり風呂に入り、夕食前から酒を飲む。本日の夕食のメインは島寿司だ。八丈島が発祥とされる島寿司は、伊豆諸島のどの島にもある伊豆諸島の名物料理だ。小笠原には明治時代に八丈島から伝わったそうで、小笠原でも歴史の長い郷土料理の一つとなっている。味付けは伊豆の島で食べたのとほぼ同じ。揚げパンにも島ドーナツとの名がつけられている。これはミクロネシアの島々で食べられているものと同じだ。毎日小笠原らしい食事を出してくれ、地元料理を堪能できる良い宿でした。