Touring & Travel diary
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05晩秋 山陰山陽»
赤波渓谷-板井原-智頭-津山 50km
2005年10月31日(Mon)
目覚めた時は雨が止んでいたが、パッキングが終わりテントをたたもうという段階になって再び雨。雨の中を走る気がないので、もう一度寝袋を出して一眠りする。結局、雨が止み出発したのは9時過ぎ。目標より2時間遅く、昨日よりは4時間も遅い出発だ。
テントを張っていたのは赤波川渓谷甌穴(おうけつ)群の始まる辺り、複合型甌穴がある場所である。全国を自転車で走り回っていた学生時代に甌穴は各地で見たが、おそらくそれ以来。この辺りは車道がハイキング道となっているが、車はほとんど来ないので歩くのは楽。車道からでも除ける甌穴が多く、簡単に観察できる場所の一つかも知れない。看板の設置された色んなタイプの甌穴を一つずつのんびり見ながら進んだ。
雲に覆われていた空がいつの間にか晴れ上がり、良い天気となる。和多里世箭子の水と名付けられた湧き水があり、非常においしかった。そこで、歯を磨いたり、顔を洗ったり。甌穴群の説明もあった。
甌穴群が終わると谷が少し広くなり、畑地が広がってきた。数十年前に集団離村し、現在ほぼ廃村状態の板井原集落である。離村しても人々は車で畑に通勤しており、この道を通るのはほとんどがそういった人々の軽トラックなのだ。畑からは煙がモクモクと立ち昇っており、草でも焼いているのかと思ったら、雨で塗れた畑地に日光が当たり水蒸気が出ているのだった。かなり古い本に板井原の集団離村のことが書いてあり、もう住民はいないと思っていたら、改装してきれいな家が一軒あり、ちょっと驚いた。人も住んでいる様子である。
用瀬町に入ったところにフォレストリア用瀬という欧風の宿泊施設が出来ていた。実は今朝、遠くで鶏が鳴いているのが聞こえていたが、ここからだったよう。2-3キロは離れているのに・・・。人里離れた山中でログハウスに宿泊、お勧め料理はチーズフォンデュらしい。良さ気な場所だが、ここに作るなら、板井原の茅葺伝統家屋を復活させ、民宿にでもした方が好ましいな。
いよいよ今回のメインの一つと思っていた板井原集落。八頭の板井原よりもさらに奥地にあり、持っている地図では上板井原となっているが、八頭の方が離村したので今は上を省略しているようだ。こちらは現在も生活を続ける人が多い山村で、山村の原風景を残す場所として伝統的建造物群保存地区に指定され、今ではガイドブックなどにも載っている。Iターンでやって来た若い人などもおり、先のひっそりした廃村とは雰囲気が全く違った。
集落のメインロードは車の走れない昔の道幅のままで、車道は集落の外を川を隔て走っている。その川には一軒一軒にわたる橋が架かっており、その外観だけでも趣がある。まずは外から集落の端から端まで自転車で進みながらゆっくり眺め、その後自転車を止め集落へ。
美しい茅葺民家の写真を撮ろうとアングルを考えていると、電池切れの表示が一瞬出て、カメラの電源が切れた。それまで電池の残量表示は満杯だったのに・・・。壊れたかとの胸騒ぎを抑えながら、予備の乾電池と交換。電源が入らない。あれ? 念のため、ラジオに入っていた電池と入れ替えたが、やはり電源が入らない。壊れたのか・・・。ガックリ。素敵な建物のシャッターをまさに切らんとしていたときなのに・・・。実はもう一組予備電池があったが、それは自転車に置いたまま。同じだろうとあきらめてもう試さなかった。
今回の旅行の写真をどうするか? カメラを買うしかなかろう。でもどこで? 集落の中も美しかったが、頭の中はカメラでいっぱい。集落内を一往復してから、せっかく来たのにこれじゃあダメだと、カメラのことを考えないようにしてもう一度歩いた。
板井原から智頭への道はトンネルが出来たといえ峠越えと思っていたが、ほとんど登ることなくトンネル到着。そしてそこからは一気の下り。標高差は500m位あったようだ。智頭でカメラが買えればもう一度戻ることも考えていたが、これだけ下ると気持ちが萎えた。
智頭も因幡街道の宿場町で伝統家屋がたくさんあったが、カメラがないと観光に使う時間は半減である。町の人に聞いたところ、カメラは鳥取市まで出ないと買えないだろうという。ここからは辰巳峠から奥津温泉ともくろんでいたが、予定を変えざるを得ない。列車で鳥取往復も考えたが、それもなんだかむなしい。バカ警官のおかげで日本海側が嫌になっていることもあり、峠を越え岡山県の津山に出ることにした。津山には5月にSDカードを買ったベスト電器があるのだ。
R53で南下。しかし、昼食時に地図を見ていると県道6号の方が交通量が少なく面白そうなことが判明。地図を見ずに津山方面に走り出したのは失敗である。さらにルートを検討すると、この先の分岐で県道296に入ると県道6号に行ける。その道をとることにした。しかし、296に入ってしばらくして全面通行止めの看板が・・・。これはずっと先の通行止めを、R53に戻る道との分岐で出しており、これなら文句なし。素直にR53に戻った。と同時に雨がポツポツ。もう少し早ければ駅で雨宿りしたが、山道に入っており雨宿りする場所がない。強い雨にならないよう祈りつつ先を急ぐ。
小さなお堂を見つけ、雨宿り。雨はどんどん強くなり、走ることは出来ない。お堂の裏は草地でテントを張るには悪くない場所。止まなきゃ、このまま泊まるか・・・。
一時間半ほど後に雨は止んだ。明るいのはもう2時間くらい、ここで泊まるか、先に進むか。電器屋が開く時間を考えると、途中で泊まるならここで泊まっても明日の行動可能時間に大差ない。ナイトランを厭わなければ、今日店が開いている時間には着くだろう。悩んだあげくにテントを張ることに決定。ところがテントを張るつもりだった場所に大きなスズメバチの巣があり、蜂の唸り声が聞こえる。刺しはしないだろうが、泊まる気分ではなくなり出発する。
出来るだけ明るいうちに進みたく、気合が入り、登りは結構快調。トンネルまでは思ったよりも早かった。岡山側にも予想よりアップダウンが少なく、何とか暗くなる前に津山郊外のベスト電器到着。購入カメラの条件は、今もっているSDカードが使えることと乾電池の使えること。そうなるとコニカミノルタの一種類しかなかった。デザインが好みじゃないのでリチウム電池のでも良いかと候補を増やしたが、結局安さもあってコニカミノルタのDiMAGE X31を購入。
狙っていた加茂川の河原で露営に良さそうな場所のチェックをしてから、ショッピングセンターに行き、CoCo壱番でカレーを食べる。ママチャリツアー当初は各地の名物を食べようと思っていたのに、弁当やチェーン店での食事ばかりとなっている。食事時間をはずして食事をすることが多いし、汗だくできれいな名物料理の店に入り辛いのだ。気温10度を割って結構寒いのに、Tシャツ姿だし・・・。
真っ暗な中河原でテントに入り、説明書を見ながら新しいデジカメをいじる。しばらくして、電池切れ。え? 入れていたのは壊れたカメラに入れていたデジカメの電池である。あわてて付いて来た電池に入れ替えると電源は入った。説明書を見ると最初の電池の残量表示ははやり残り少ないことを示していたよう。まさか・・・、元のカメラに新しい電池挿入。動いた・・・ガックリ、壊れていなかったのだ。バカだなー。予備の電池もずっと前に買ったものだから、放電してしまっていたということ?
はぁ、情けない。無駄な買い物をした。荷物は増えるし、田舎で買ったから安くないだろうし・・・。予備のカメラが必要だと実感したので、二台あっても良いんだけどここで買う意味は全くなかったのだ。ルートも変更し、この先のルートにも困る状態だというのに、あーあ。